湘南移住記 第四十三話 「海の見える丘で」

マグロ、マグロ、マグロ。三崎港はマグロが有名なので、マグロを出す店をよく見かける。海鮮丼、寿司。だが、総じて価格設定が高い。1500円以上はする。ミサキドーナツという、ドーナツを売る店もあったがこの日は閉まっていた。今時のお洒落な店は少ないようだった。

路地裏に、100段はあろうかという、長い階段があった。神社なら参ろうと、昇ってみる。階段を昇ると、大きな慰霊碑があった。戦死した日本兵を祀っているようだった。戦没者の名前と階級が記されてある。名前が記されているのは珍しい。慰霊碑のあるこの神社からは、城が島大橋がのぞいている。ここに眠っている方も、海と風を見ているのだろうか。街に戻るとき、どうも肩をつかまれている感じがした。一礼をしてその場を去る。

コロナ渦の中、国会で国民投票法改正案が可決された。改憲は免れないだろうが、戦没者の方達の気持ちも汲んで欲しい。戦争を基盤にする経済モデルは終わらせなくてはならない。

三崎口駅まで戻る。途中まで坂を歩いていった。国道26号線を歩いて北上。さすがに朝から歩き詰めなので、疲れて途中のバスに乗ろうとした。が、バス停に着いて時刻表を見ると、次のバスまで20分待つ。時間がもったいない。次にバス停まで歩いていくことにしたが、存外距離があったので後悔した。地元のファミレスに中学生たちが、道をはさんで友達におーいと声をかけてるのを見て、いいなあと思った。

横須賀、アメリカの風景

三崎口駅にバスで到着し。女将のおにぎりを食べようとしたが、おかずがもうない。駅のそばの京急ストアに立ち寄り、惣菜を買うことにした。ついでに、物価の様子を見ておく。京急ストアの価格は、津山でいうハピーマートくらいだった。安くもないけど、高くもない。250円で春巻が5つ入っているパックを買った。駅前の座れる場所に腰をかけて、春巻の皮が地面に落ちないよう気をつけてたべる。ちっちゃい女の子にじーっと見られた。

特に用件はなかったが、京急の横須賀中央駅で降りる。横須賀には一度も訪れたことがないからだ。電車を降りる時、切符を落とし、改札口で切符代を払おうとしたが、女性の駅員さんが善意で通してくれた。阪急電車でも何回もやってるのでこの対応をしてくれると知っていたが、ありがたかった。

横須賀は藤沢くらい開けていた。神奈川は、さらに大きい横浜もあるし、川崎、鎌倉、藤沢、横須賀もあり、西には箱根もある。かなり多彩な県だ。こちらに越せば、東京もふくめてよりたくさんの経験ができるだろう。

横須賀中央駅から田浦駅まで歩いた。横須賀はツッパリとか、荒れているイメージだったが、綺麗な街だった。ただ驚くのは、米軍基地があるためか、かなりアメリカナイズドされているということだ。不動産屋や飲食店も英語表記の看板が多い。どぶ板通りという通りがあったのだが、公式の道路標識でさえ英語だった。DOBUITA STと表記されている。どこかファニーな感じだ。クラフトバーガー屋も多い。アメリカ人が我が物顔で歩いている。異国に飛びこんだかのような風景だった。

田浦駅の近くまで行くと、海に面した、整えられた公園があった。倫敦を思わさせるような高い電灯と、木目の床。異国人の家族連れや老夫婦が、ゆったり時間を過ごしている。海の向こうには、米国の軍艦が見えた。たしかに綺麗だが、いい風景ではない。ここにいるアメリカ人達になんの罪もない。三崎港で眠っている日本兵たちは、この風景をみたらどう感じるのだろう。いや、彼らは感じることさえできない。外国人好きな私でさえ、複雑な感情になった。

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