湘南移住記 第六十五話 「NEXT STAGE」

小雨の昨夜。0時に女将からスカイプで連絡がきた。起きて電気をつけると、自分の体の異変にびっくり。両手足に汗疹のような蕁麻疹がびっしり出ている。2日間で1番ひどかった。

様子見で、今日も仕事を入れなかった。これで日中、酷い蕁麻疹が出るようなら厄介だ。仕事中も蕁麻疹が出るということになる。

Twitterで調べてみると、私と同じような人が少なからずいた。7月になってから、いままで蕁麻疹になったことがないのに、突然に発疹している人がいた。コロナと関連があるのだろうか?食べ物のアレルギーでなければ、原因不明なことも多いようだ。ストレスも大きな要因らしい。

疲れていたのか、今日起きたのは昼の12時だった。ここ一年は朝に起きる規則的な生活をしていたので、少し驚いた。

天気は曇っていたが、雨が降らないようなので、自転車で鎌倉に出ることにした。家に籠もってお金のことばかり考えていたら気が滅入ってしまう。

このツーリングのために生まれた

自転車で、国道134号を葉山方面へ進んでいく。道は一本で、走りやすい。横須賀の秋谷までは坂が多く一苦労だが、あとは平坦な海沿いのルートだ。なんなら、三崎港から三崎口駅までの坂道が1番きつい。

途中、立石海岸で海を眺めた。ここは江戸時代の絵師、安藤広重も絵に納めた海岸線で、水墨画に出てきそうな奇岩がにょきっと聳えている。曇空だと、水平線の境がわかりずらく、海と空が一緒に見えた。晴れた海の爽快さはないが、なにか壮大で胸に訴えるものがあった。

もう少し行くと、葉山。あ、もう着いたのかという距離感だった。葉山に入ってくると空気感が変わる。どこか哀愁があり、穏やかで、落ち着いてもいる。

道沿いに、自家焙煎の看板が見えたので、テイクアウトでアイスコーヒーを頼んだ。一杯ずつハンドドリップで淹れてくれる。東ティモールの中深。苦味が心地いい。

蜂蜜を売っているハニーショップの隣にある。店主はジョージさんと言う方で、すごくフランクに話しかけてくれた。東京でも飲食店をやっていたり、フードトラックをやっていたり、音楽が好きで、活動もしていたらしい。三浦半島の事情であったり、小一時間ほど話した。

このカップはバタフライカップと呼ばれるもので、ストローなしでも飲める。店で使ってみよう。

ここで気づいたのが、話しながら意識がグラッと揺らいだ。どうも、自分が思っているより疲労が溜まっているようだった。

津山で最後にしていた仕事が肉体的にハードで、まだ体力もそこまで衰えてないか、と認識していたが、精神面で予想以上に消耗していたようだ。自覚がなかった。自覚がないから、きつかったのか。見知らぬ土地に来るだけで、こうも違うのか。20代の移動とは違う。

葉山を越えて、逗子海岸にきた。ああっ!やっと、ここに来れた。自転車で1、2時間程度でこの場所に来れるようになったとは。私はなんて幸せ者なのだろう。

逗子海岸は海の家が多く建てられていた。神奈川は緊急事態宣言は出ていないものの、蔓延防止は出ている。海の家は、今年はやるようだ。子供たちが授業なのか海で泳いでいる。

旅をしていて、湘南は遥かなる土地で、魅力的だったが、日常の延長線上になった。そうなると、憧れのように抱いていた感情が、変化していることに気づいた。これはいいことなのだろうか。

ジョージさんも、人間関係の雑多さが煩わしくなり、東京から葉山に移住してきたそうだ。移住して見えるものを、私は見ていこう。

リジェネ鎌倉

小坪からトンネルを抜け、鎌倉入り。入った瞬間、空気が違う。ああ、生きていて良かった。単純にそう思える。鎌倉は相変わらずいるだけで体が回復する。ファイナルファンタジーでリジェネという、ヒットポイントが自動で回復する魔法があるが、あの感じ。

雨がぱらついてきたので、少しぶらついて帰る。駅近くの横丁におでん屋が入っていたのと、雪の下に玄という、まさに玄人好みな自家焙煎珈琲の店を見つけた。また来てみよう。

自転車をこぎながらいろんなことを考えた。いままで、たくさんの失敗をしてきたが、ここから、また始めようと言う気になってきた。いままでの自分を許そう。不思議と、前向きになっている。三浦に来てよかった。ここで、女将と、生活を共にしよう。

蕁麻疹は昼ごろ出たが、今のところ出ていない。夜に出たらきついが。だが、心の入れ替えが出来た。梅雨去って地固まる。今日は、とてもハッピーな1日だった。

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