湘南移住記 第八十二話 「急展開」

夜、急に寒くなった。Tシャツとパンツだけでは寝れなくなった。

急展開、というのが私の人生には多い気がする。少なくともこの日記において、つまりこの半年においては。一室に天王星があり、かつ水瓶座だからだろうか。

今借りている家では飲食店の許可が降りるのは難しい。ネットで店舗用の物件をあたってみたが、どうも家賃が高い。十万以上がざらだ。東京にも十万の店舗を見たので、どうかなあという気になる。

ぴんとくるものがない中、ジモティーで横須賀にいい物件を見つけた。家賃は40000万円くらい。街中に近い。屋根がぼろぼろらしいが、DIY可能。メールで問い合わせみた。

もしこの話が通れば、三浦を離れることになる。たった2ヶ月か3ヶ月かそこらで離れるなんて、とても寂しい。三浦は気候も、住んでる人も素晴らしい。

なんとかならないだろうか。三崎の〈朝めし あるべ〉さんに行くことにした。2ヶ月前、店主さんに店を開きたいんです、と話したところ、ゆっくり話しましょうとおっしゃってくれたので、相談に乗ってくれるのではないか。藁にも縋るような気持ちだった。

朝から女将と連絡をとって、海岸線から三崎へ行く道をスカイプで中継した。途中、猫がいて、スマホに映すと女将は喜んでいた。

凝縮の朝食

〈あるべ〉さんに着いた。朝の9時。客は、私とカウンターにおっちゃんが1人。カウンターに座って話そうとしたが、無理なので、テーブル席に座る。カジキのテールのひもの定食をたのんだ。

カジキのテールの干物、というものをはじめて食べた。前回のマグロの頬肉の干物と同じく、旨味が凝縮されていてうまい。こぶりだが、食べ応えがある。脂の部分が特にうまかった。

副菜は枝豆、かぼちゃ、揚げさつまいも、茄子のおひたし。汁物はコーンポタージュ。自家製ぽい梅干し。枝豆はなんでなら、と思われるかもしれないがもちろん冷凍ではなく、三浦産のもの。茹でるのではなく、焼いてある。

〈あるべ〉さんの朝食はシンプルなのだが、食べると力が湧く。体に活力が宿るような朝食だ。

ぼーっと、扉の外を見ながら食事をする。BOSEのスピーカーから、神奈川のラジオらしき番組が流れていて、ジャニーズの曲をかけていた。ラジオDJがカナダ留学中、当地の日本人の間でも流行ったよ、というエピソードを披露していた。

たしかタッキー&翼の、昔俺たちは悪かったよ、というニュアンスの曲だった。ナイス選曲!というツイートだらけです、とラジオDJが報告する。私ですら知っているのだから有名な曲だ。しかし思い入れがないので、盛り上がりの波に入れない。一抹の寂しさがあった。改めて聴くと、曲は作りがしっかりしていた。

結局、ご主人に相談ができなかった。どうも不機嫌そうに見えて、怒ってらしてるのかと話しかけられなかった。

途方に暮れ、店を出た。

とにかくうごいてみ

これではいけない。一旦家に戻って、再度、三浦の衛生センターに行き、営業許可の要件を確認しに行くことにした。家に帰ると体が重い。だがうごかなければ。スマホで将棋を数曲指し、自転車で出かけた。

交渉次第でなんとかなるのではなかろうか。窓口へ行くと、昨日、担当したベテランの女性がいた。もう一度聞いても、答は一緒だった。今のままだと、店舗用とは別に居住用の台所をもうひとつつけなければいけません。何度行っても答は変わらなかった。

衛生センターが入っている三浦合同庁舎を出ると、ジモティーで横須賀の案件の返答がきていた。店舗用でも使えます。どのようにご利用ですか?飲食店です。利用は可能でしょうか?と返信した。

そのまま、三浦海岸にある不動産屋さんに向かおうとしたが、雨が降りそうなので辞めた。帰り道にある不動産屋さんに寄った。栄町にある居酒屋の居抜き物件を紹介されたが、ピンとこなかった。

衛生管理責任者のプレートの再発行代を振り込むのを忘れていて、銀行に行く。もうひとつ不動産屋さんに寄った。この不動産屋さんには、三浦市の不動産事情を詳しく教えてもらった。

三崎で店をやりたい人は多いらしく、何人も待ちが続いているらしい。気長に待つか、横須賀に移るかかなあ。

三崎と三浦海岸の違いの話も面白かった。三浦海岸にはビーチがあるのでバーベキューをよくするが、三崎にはビーチがないのでしないらしい。三崎は風が強いのでバーベキューをすると怒られるそうだ。その会話の中で、三崎は風の街、という言葉がでて面白かった。占星術に明るい人でもないのに風の街、という表現をするとは。私が感じたことも間違いではなかったようだ。

ともかく、ツテがいる。三崎にはネットには出てない物件も多い。と聞いて、時間がかかるかなあ、と考えた。

歩いていると、あるお店があった。まだ入ったことがない。はいってみる。

私が店内に入ってすぐ、女性の二人組が入ってきた。ご主人と、国庫がとうとか、開店の話をしている。気になって話に加わると、お二人は店を決める段階らしかった。私も場所をさがしている、と話すと店主の方が心当たりがあるので当たってみると言って頂いた。ええ!

今の今でさっそくだった。なんかもう、世の中はトゥルーマンションのように仕組まれているのだろうか。不動産屋さんにも教えて頂いたが、ご縁でしかない。私は三崎とご縁がある。わくわくしながら待つことにした。人生ってすごい。ありがとうございます。

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