湘南移住記 第129話 『壊れたサドル』

朝5時半。外はまだ薄暗い。まだ廃棄する予定の冷蔵庫やタンスを置いてある台所の電気をつける。ジモティーでもらった即暖ストーブのスイッチを入れる。すぐ暖かくなる。この子が来てくれたおかげで台所のテーブルで過ごすことが多くなった。

昨日のことで、まったくやる気がでない。しかし31日まで行くと言った手前、途中で辞めるわけにもいかない。

富士見町から衣笠駅まで自転車で向かう。すると、京急ストアのあたりで突然、自転車のサドルが外れた。部品が地面に落ちたので、拾う。修復は無理そうだったのでサドルをカバンに入れてずっと立ちこぎで衣笠駅まで向かった。

この時ばかりは、もう本当に行くまいかと考えた。

昨日の件は結局、私のせいではないということになっていた。それでもしんどかった。そう言う日に限ってあれやこれや言われるので、心がどす黒くなってきた。話を受けるんじゃなかった。後悔しながら作業を続ける。

だが仕事は仕事で真剣にやる。作業が思うように進まない時間帯があって、きつかった。登り坂を泥まみれで這いあがってるようだった。

転換

頭がストレスまみれになっていたが、発想の転換をした。これは、派遣元からの延長を受けた自分が悪い。仕事なのに、忙しそうだから自分のプロジェクトを止めてやってあげてるみたいな精神だと仕事が楽しめない。どこかで責任を転嫁している。

頑張りのおかげか、定時より30分早くあげれた。鎌倉駅から衣笠駅の帰りの電車で、ふとそのことを思い出した。乗客はみな取り憑かれたようにスマホをいじっている。恐ろしい光景なので、電車内ではスマホを見ず、本を読むかぼーっとするというルールにしている。

いままでの失敗もすべて自分のせいではないか。それなのになぜか他人を憎んでいなかったか。

そのことに気づいた時、ボロボロっと長年こびりついていた錆が剥がれる思いだった。そうか。その視点で振り返ると辻褄が合うことが多いかもしれない。苦しかったのはこの無意識の習慣ではなかったからか。

起業の選択肢を取ろうとしていることも影響している。店もそうだったが、経営する立場になると、判断はすべて自分だ。他人のせいにしていたら、事業がおじゃんになってしまうだろう。すべてが自分次第だ。

無意識的にか、人にバーッと投げたり、なにかあると人のせいにしてしまう人がいる。そういう人は見ていて、駄目だろうなと思う。

焼肉屋をしようとしている宮迫もそうだ。すべての責任を背負おうとしているが、人のせいにする思考傾向がある。ちょっとした口癖にそれが出ている。

宮迫は分析力がとても高いが、なにかしようとすると、ああなってしまう。感謝がなくなってしまう。

自分をよくみる

翻って、私もそうだ。女将に対して、感謝が欠けていた。

横須賀に引っ越す時もお金がないのに手伝いに来てくれたし、靴もくれたし、津山で働きに出ていたときも、毎日送り迎えをしてくれ、お弁当を作ってくれていた。猫の世話もしてくれていた。

書いてて涙が溢れそうになる。自分の愚かさが段々とわかってきた。感謝に欠けていたのは、私だった。

〈No.13〉の野口さんのストーリーを見ていると、疲れて二郎系ラーメンを食べたらしい。そのとき、やることはたくさんあるが、楽しんでやりたいと書いておられた。

私もやりたいこと、やるべきことが山積みだが、思い詰めず、楽しんで1日1日やっていこう。ノートに構想をまとめていたが、予定表を買って、計画に落とし込もう。

衣笠商店街の魚屋さんで鰹の腹が半額になっていて、100円で買う。状態がよくないのかなと思ったが、半冷凍で、白菜と大根とで煮付けたら美味かった。内臓も好きなので一緒に煮込んだら溶けて肝汁になった。精がつきそうだ。これで2-3日はもつ。汁をつくると大量にできてしまうので、かなりの節約になる。栄養もよくとれるし。

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