湘南移住記 第148話 「春の芽吹き」

火曜。朝から痛みが酷い。今日も休みを取らせてもらった。今は1日でも稼働してお金を作りたいのだが、この調子だと働くこともできない。職場への申し訳なさもある。

風呂で体を温めると痛みが引いていたのが、効かなくなった。頼みの綱の痛み止めも効かない。痛くなればそのまま耐えるのみ。

偏り

この3日ほどは20分ほどの断続的な痛みだったが、今日は1時間以上続いていた。きっちり時間を測っていたわけではないか、体感的にこれまでより長かった。

参った。これでは何もできない。発症さら一週間、これほどまでに続くとも予想だにしていなかった。内臓のどこかが疲弊しているのか、倦怠感も相変わらず強い。しんどい。

腰のあたり、左の腸がずっと痛い。なにかがずっと塞ぎ止まっている感じ。

痛みに悶えながら、ふとある考えが浮かんだ。腸と脳は記憶で繋がっている。もしかして、この1ヶ月、過去のことで自分を責め続けて、内臓が反応したのではないのかと。

3月になってから哀しみと寂しさが止まらず、正に悲嘆にくれていた。自分の行動を悔やみ続けた。

食事は菜食中心で、バランスは悪くはないとは思う。心の状態が肉体に影響を及ぼして、この痛みが生まれている。

あの心の苦しさを体の痛みに変換すると、確かにこの結果かもしれない。

病気になるということは、私のどこかが偏っていたということ。ここ最近に限らず、もしかしてずっとそうだったのかもしれない。

自分だけに意識が行きすぎて、相手を見ていなかったということ。

しかも、自分の感情にフォーカスしすぎていて、自分を見失っていたこと。

相手に期待しすぎてもいたし、自分にもそうか。課題に評価をしていた。客観視に欠けていた。

闘い

津山の〈ボンズランプカフェ〉を経営していたさだおさんが、岡山大学の病院に入院している。Instagramのストーリーでみるみる衰弱していくこの1ヶ月の様子を心配しながら見ていた。

さだおさんとは特別懇意にしていたわけではないが、hatisに遊びに来てくれたり、私もボンズランプカフェに行ったり、台下の冷蔵庫をくれようとしたり、ちょくちょく交流があった。

ボンズランプカフェはBMXやスケボーを子供に教えている。津山のような閉鎖的な土地でひとつの文化を普及させたのは、とても偉大なことだ。横須賀にきてそのすごさがわかった。

今日、さだおさんが手術を終えて歩いている様子をストーリーにアップされていた。なんだか嬉しかった。嬉しかったし、闘っている様子をみて、励まされた。

私も心を変え、病気を治して、店を始める。1日1歩ずつ。すすむ。

横須賀の春

午後。痛みが少し引いたので、何かできることはないかと考えた。三春町の珈琲屋〈のこ屋〉さんが開いていれば、珈琲のドリップ器具と練習用の生豆を仕入れられないか聞きに行こうと考えた。

県立大学駅から浦賀方面に歩いて行く。今朝は寒かったが昼は暖かい。三春町は海も近く、近場で好きな地域の一つだ。

歩きながら痛みが出てきた。歩くと少しは紛れることに気づく。かといって、ずっと歩き続けるわけにもいかないが。

道を間違えてヤマダ電機のアウトレット専門店まで来てしまった。中を覗くと、ハンドブレンダーが2000円で売られていた。スパイスカレーのテンパリングや玉葱を溶かすのに必要な道具。以前はミキサーを使っていたが、鍋から移すのが手間だし、乳化にも応用できる。

ジモティーで譲ってくださる人がいたが、連絡がつかないので買うことにした。

海辺釣り公園で、おっちゃんが将棋しているのを見る。中飛車と矢倉の闘いで、5四飛と浮かせてお互いに銀で叩き合う展開が面白かった。かなり急戦だった。

三春町のセブンイレブンで半額のペヤングたこ焼き味があり買ってみた。だが、この製品にもアメリカ産の小麦が使われているかもしれないと気づき、後悔した。

そういえば昨日ピルクルを買った。私の好物のひとつで、以前は中毒になっていた。だが今飲むと、砂糖の量が半端じゃなく、気持ち悪くなった。これも偏りの一つか。

のこ屋さんは開いていなかった。

これからは、過去にこだわるのをやめて、今に向き合うことにした。相手のことも考える。それ以前に自分を大事にしないと、相手を幸せにすることもできない。

ハンドブレンダーで、さっそくスープを作った。昨日買ったブロッコリー、じゃがいも、ほうれん草。もちきびも。ブロッコリーは芯まで入れる。スパイスはコリアンダーシード、クローブ。味付けは塩だけ。銅鍋で煮込んで、ハンドブレンダーで液体にする。クローブを入れすぎた。クローブは香りのクセが強く、入れすぎると調和しづらい。ここでもバランスの大切さを学んだ。このスープを飲んだら元気になれそうだ。

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