湘南移住記 第165話『角刈』

妙な一日だった。ボタンを掛け違ったように、どこかチグハグだった。

横須賀から横浜まで、電車で通勤。慣れてくると、1番空いている車両がわかってくる。例えば、横須賀中央駅、7:28発の特急。前から1番前の車両が比較的空いている。

その時間、4番目の車両に乗ると、決まってiPadを見ながら動画に合わせて奇声を発するおっちゃんと、金沢八景駅まで乗り合わすことになる。4番目の車両は避けている。

横浜駅に着き、二つある改札の内、みなとみらい線に近い方から降りる。無意識が、最短距離を選んでくれる。毎朝のルーティンだ。

みなとみらい駅の風景

ところが、なぜか今日は遠い方の改札から降りてしまった。みなとみらい線に乗り込んで、みなとみらい駅に降りて、そこから職場までの最短ルートがあるのに、別の入り口から出てしまって、いつもとはまったく違う建物に入ってしまった。

いつも時間に余裕をもって出勤するので遅刻はしなかったが。遠回りをした。いつもと違う景色も見れた。妙な朝だった。

人間は機械的でもある

鎌倉に通っていた頃、衣笠駅からの電車で、決まって田浦駅でキレてドアを蹴りながら降りるおっちゃんがいた。やはり、このおっちゃんも決まった時刻に決まった車両に乗っていた。6:30発の列車の、前から5番目の列車の真ん中あたりにいる。

みなさんも心当たりがあるだろうが、ルーティンを繰り返すと、体に染み付いていく。何も意識せずとも体が動く。

だから人間って、機械的な部分もあるのだと思う。よく人間らしくというが、感情を排すこともできる。

満員電車の人たちを観察していると、それがよくわかる。みんな無感情にスマホを見て、通勤を繰り返す。

それが行き過ぎると、工業化が進んだ1900年代のアメリカのように、神経症に罹る人が増える。

しかし今日はルーティン通りにいかなかった。正確無比なダイアグラムが歪んでしまっていた。

運命の潮目が変わったのかもしれない。私はここから大きく変わるだろう。

風水

職場の席は毎日変わる。ということは隣の席の人も日替わりになる。

美味しいカキ氷屋を教えてくれた横浜生まれ育ちのマダム、横浜の違法カジノで遊ぶ愛知のレゲエ好き。昨日は厚木から東京電気大学に通う希望ある若者。今日の隣の女性には、京都の〈原谷園〉という名所を教えてもらった。

この女性が私に運気を上げる風水の技をかけてくれるそうだ。大事なのはいいことの兆しを意識すること。「道端の花の美しさに気づくこと」の大切さを教えてくれた。

人間、意識の持ち方で強運を引き寄せることができる。どんな小さなことでもいいから、いいことを意識すること。私もこの日誌で言葉にする。みなさんもいいことの気づきを意識して、みんなでハッピーになりましょう。

逆パターンが、この一年の日誌だった。辛いことにフォーカスしすぎて、よくない運を自分から持ってきていたのではないか。

楽しいことや、出会いもたくさんあったから、トントンだったかもしれないが。

これからは、小さくてもいい兆候に気づいて言葉にして、私も読む人も強運を身につける。

昼休み、広場に出てファミマのMサイズの濃いめのブレンドを飲んだ。風が気持ちいい。幸せを感じた。

角刈

仕事帰り、横浜駅から徒歩10分の〈らぁ麺はやしだ〉でつけ麺を食べた。岡山、蒜山の大山鶏がスープに使われている。岡山のものは優秀だ。

味玉つけめん 950円

これは美味い。大山鶏と鴨のスープ。澄んだ出汁の香りと旨味。洗練されている。食べる芸術のようだった。幸せ。

店を出て、横浜をぶらつく。知らない方へ歩いていく。気がつくと、山側の高級住宅街に迷い込んだ。

こちらの生活が定着してきて、毎日おなじ風景ばかり見ていた。ひさしぶりに旅をした気分だった。知らない場所へ行くのは楽しい。

三ツ沢という地域のようだった。建てかけのマンションや、バッティングセンターがあった。

帰りの電車に乗ると、角刈の人を見かけた。角刈は、お笑いトリオ・ジェラードンのアタック西本でよく見てるが、生の角刈を見かけることはなかった。

角刈は、カーキ色のジャケットにグレーのズボンを合わせている。赤いナイロン袋にお菓子パンを入れていた。耳には白いイヤホン。

1日の最後に角刈を見かけるとは、妙な1日だった。

珈琲問屋でジャスミンティーの茶葉50gが36%引きで460円なので買い求めた。幸運。ペットボトルのジャスミンティーより薫りがいい。

ジャスミンティーを飲みながら、トキモンスタの2017年のアルバムを聴く。ダイアトーンのスピーカーは音の迫力があって素晴らしい。好き。

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