湘南移住記 第173話 『素晴らしき哉』

思った以上に体が悪い。血便、血尿と続いて、土曜日はとにかく体が重たかった。膀胱も痛い。倒れ込むように、自室の窓から外を見ていた。庭には薄いピンクの花が咲いている。暖かい春の日差し。

倒れ込むように

季節は巡っているのに、私はなんでこんなにも物事が進まないのだろう。体調は悪くなる一方だ。この先、体は持つのだろうか。逡巡を巡らす心が、現実の結果として現れているのか。

ここで倒れてしまったら。1人だからだれも気づかない。

もしそうなったとしても、自分の選択した結果だった。そうなることは予期しなくても、選ぶということはそういうことだ。

何かあって、追い詰められて、動いて、働いて、お金をつくって、0から自分で改装して…。

なんの縁もゆかりない土地で、切り拓いて。みんなが手を差し伸べてくれて。素晴らしい景色も見て。

恥の多い人生だったが、この日記を見続けてくれた人には、なにか伝わったのではないかと信じ、終わ….れはしないか。

さすがにここまで来たのだから、やらなきゃ。

人生は選択の連続。選びとる勇気がなかて、選択を人任せにしていた私も、その言葉が身に染みるようになった。選んで、選ばざるを得なくなって、得たり失ったりする。

生きる

窓から、UFOのような動きをして、虫が部屋に入り込んできた。虫は畳の上に止まった。ストローのように長い口を、手で研いでいる。庭の花の蜜をこの長い口から吸っているのだろう。

形状だけ見ると、地球上の生物というより、なんだか宇宙人のように思えた。その群衆が庭をうようよ飛んでいる。マーズアタックのような展開だ。

Shigetoの『No Better Than Now』というビートアルバムを聴いていた。この虫は耳が良くて、音に引き寄せられたのかもしれない。

この虫も、必死に生きようとしている。

前日、妙な夢を見た。神戸で長く住んだ王子公園に、大きなカフェが出来ている。前を通ると、たくさんの人がいる。

その中に懐かしい人たちがいた。中学のバスケ部で、ガードのレギュラーだった太田さん。大学生の時、コープのバイトで出会った嫌いだったヤスキ、という初めて会った同名のイケメンの先輩の、彼女。その人もコープで働いていて、同じ岡山出身だった。よく叱られていた。

再会のしようがない、それどころか記憶に思い出すこともなかった2人が、大人になった姿を、夢で見る。奇妙な出来事。

過去を忘れよう、と心に決めたら、無意識の奥深い所が作用して夢に出たのだろうか。

起きて、その夢を思い出すと、あぁ、生きてた良かった、と感じた。

関わりの薄い深いを別にしても、いままで無数の人に出会った。出会い、別れて、別れた後も、その人の人生は続いている。

関わりの深い人は今もInstagramで繋がって、連絡を取り合う人もいる(この頃、なぜかDMで連絡を取る人が増えている)。

そして、私も含め、これを読んでくれている人も、すれ違い、出会った人、すべてが例外なく、いずれ終わりが訪れる。

では、今この瞬間を生きる以外、なにもないのではなかろうか。

私がこれから、店を初めて、成功し、地域に役に立ち、東京や津山、神戸、自分が始めたい場所で店を始め、うまくいって、多拠点生活ができ、自分のつくった音楽が多くの人に聴かれるようになって、ECやメディアも成長する、というヴィジョンがすべて叶うとする。

結果は結果で、そこに向かっている今が大事なのではないか。

幾多の後悔を重ねるうちに、そう思えるようになった。

5/9に工事の下見が決まった。GW、プレオープンに来てくれると友達から連絡があった。スパイスカレーを仕込んで、珈琲も焙煎しないと。

Baggyという、神戸でラップをしている友達が、居酒屋を開くとInstagramで報告していた。連絡を取り合った。

周りも進んでいる。

みなさんもきっと、いい方向に進んでいる。

私も亀のような歩みで、進む。体を治すのが先決か。いい方向にいく。

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