私たちが好きだったフジテレビ

東京、という場所には縁がないものとずっと考えていた。実際、19歳で初めて東京に行った時は特に感動もなく、吉祥寺で念じるように麺を出していたラーメン屋のおじさんのことしか覚えていない。

20代のころは、行ったこともないくせに東京がイヤだった。人が密集している場所が苦手だからだ。

フジテレビへいく

店の改装をしていたところ、世界一周ソムリエの西上さんに呼び出され、急遽、東京までドライブすることになった。

横須賀から高速道路に乗り、横浜の工業地帯、羽田空港を越え、お台場に向かった。運転免許証を持っていない私では行けないエリア。車窓から見る都会の風景は無機質だけれど、どこか感動もあった。

中学生のころ、めちゃイケがよくフジテレビの社屋を映していた。岡山の田舎者からすると遠い遠い世界。地元の岡山には芸能界の薫りなど全くない。地方のほぼすべてがそうだ。

高速道路からフジテレビの社屋が見えた。ああ、あの球体だ。想像していたものより小さかった。こんなものか。

フジテレビ前のアクアシティの最上階に駐車した。フジテレビのオフィスに侵入を試みたが、開放されたテーマパークのようなエリアにしか入れなかった。

ワンピースのゴーイングメリー号のオブジェが飾られていた。使い古され、哀愁がある。劇中でもゴーイングメリー号はもう存在しない。

このビルは96年に完成している。日本のまだ元気で、華やかさが残っていた時代。現在このようなビルを日本の企業が作ることはできないだろう。

ここには既得権益もメディアの癒着もあるだろうし、私が少年期にみた番組が作られてきた場所だった。今もそれは作られている。

華やかだった日本の幻想をまだ追い続けているような気がして、また悲しみを覚えることになった。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。