湘南移住記 第193話 『検証』


日曜日。レイト君に手伝ってもらうつもりだった改装を1人でやる。

朝、昨日の台風の名残からか、秋のような冷たさを含んだ風があった。昼頃には真っ盛りの夏に戻った。

横須賀は、盆地に立地する津山の残酷な暑さがない。海風の湿気があるが、感覚的には全然耐えれる。

来週に4連休があるので、大きな改装をそこで終わらせるつもり。今日は、準備と片付けをすることにした。

天空


ホームズへ資材の買い出し。妙に町中華が食べたくなって、京急堀之内駅ちかくにある〈創作中華 天空〉へ。ひさしぶりの贅沢。

エビチリのランチ 1300円ご飯大盛り無料。

町中華にしては割高だったが、店内は清潔で、品格があり、味も美味しかった。食前、香りのいい中国茶がサーブされた。

気持ちを洗い流してくれるような時間だった。飲食店は、単に食事をするだけではなく、珈琲も含めて、お茶の力は大きい。リセットを促す。

ホームズで資材の購入。木材をカットして、お茶を盛るお盆を自作しようと考えているが、もう一度探ることにした。

料理の盛り付け用に欲しかったピンセットも購入する。

葉山にあるナチュールワインショップ兼ホステル〈Ami Hayama〉で、美濃焼の珈琲茶碗を見つけた。深いブルーで、形もいい。1客、1500円。最初は8席で始めるので、8客買うとして12000円。大きい出費だが、器は大事だ。店の印象に深く関わる。

津山の堂下さんか森永さんに頼みたいが、今からだと時間がかかる。後々使わせてもらうとして、最初は美濃焼にしてみよう。いつか備前焼の器でも出してみたい。

資材を買って帰宅。近くにできたヴィンテージショップにワイングラスを取りに行ったが、閉まっていた。ワイングラスはアイスコーヒーに使う予定。できればボルドーグラスがいい。

東京で1番好きなカフェ、中目黒の〈epulor〉でアイデアを拝借。岡山の〈山の上ロースタリー〉でも、アイスコーヒーをワイングラスで出していた。

イメージ

帰宅し、作業開始。作りかけだったテーブルの続き。作り窓のガラスが割れていたので、バールで砕いて回収。怪我をしないよう気を張る。

キッチンの整理。床材を貼る。床材を買っておいたのだが、明らかに面積に対して足りなかった。混乱していたのだろう。

オープンは遅くなってるけど、その分良くなっているから、開き直って時間はかけよう。焦ると正常な判断が下せなくなる。落ち着いて行動する。

作業にキリをつけ、洗濯をした。暑いので洗い物がよく乾く。今晩のスパイスカレー検証のため、庭で育てたレモングラスとバジルを摘む。

さらなる進化


佐野町の〈No.13〉へ。野口さんと生豆の共同購入の相談をしに行く。

購入前に、カッピングテストをすることにした。事前にインポーターからテストサンプルが届くので、風味を確認する。

その工程をアルパカさんに動画で回してもらい、YouTubeにアップする。ソムリエの西上さんも加えると、さらに面白くなるのではないか。

こういった動きは津山ではなかった。津山の店ではとても多くの人に支えてもらったが、同業者と一緒に動くということはなかった。横須賀では商売を始める前からネットワークができ始めている。特にこの2ヶ月は雪玉が転がるように大きくなった。わくわくする。

野口さんの珈琲がさらに進化していた。エスプレッソ用の珈琲粉がダマになっていたのを専用の器具でつぶす工程をはさむ。たった、それだけで、珈琲の風味が大きく変わった。例えると、2Dから3Dに切り替わった。

2次元から3次元へ

抽出したアイスコーヒーに油分が出来ていた。東京の珈琲店でも見かけたことがない。浅煎りでここまで油分がでるものかと思った。

改良された器具
カフェラテ。珈琲の香味が牛乳に飲み込まれない

スパイスカレーでもテンパリングという作業があるが、油は揮発性が高く、香り成分を纏う力がある。

つまり、珈琲の油分を出すことによって、香りがより強くなる、ということだ。

私は、風味が2段階あるように感じた。飲んで舌で感じる味わいと、液体を飲み込んでから鼻腔と喉に流れる香味。野口さんと話し合ったが、風味が立体的になった。

それは、私がスパイスカレーで課題となっていたところであった。

先日、UKのレーベル、〈ninja tune〉に所属するLokaというブレイクビーツアーティストの作品を聴いた。この人は映画のように奥行きのある音作りが得意だ。

日本人のアーティストは情緒はいいけれど、レイヤーになると弱い。日本映画とPixarの3D技術を見ると、差は明らかだ。

表現において、奥行きは重要なもの。飲食物においても同じ。

野口さんに過抽出と未抽出の違いについて教えてもらう。ありがとうございます。

次の段階へ

No.13の珈琲全体が底上げされたので、アイリッシュコーヒーなどすごい出来になるだろう。

再び帰宅。スパイスカレーの検証をする。AIで素材同士の相性を測るフードペアリングを基に、食材の組み合わせをつくる。

6月の闇営業で、西上さんにスパイスカレーを食べてもらったとき、素材が調和していないと指摘されていたからだ。

今日はトマト缶にアプリコット、昼に摘んだレモングラス、バジルを合わせた。煮込んで、ハンドブレンダーで丁寧に混ぜ合わせる。

驚いた。トマトにジュース感と香りが増している。相性のいい食材同士だと、お互いに主張せず、高め合う。配分次第だろうが、トマトの風味がブーストされた印象。


改装もそうだが、細かい部分を詰めていくフェーズに入った。神は細部に宿る。

調和とバランス。

自分自身もそう。やりすぎて体調を崩すのは、バランスを失っていることだった。

今は踏ん張りどきだが、この先もある。勝負は長い。だから、適度に。

一時、頑張るよりも、休みも挟みつつやり続けたほうがより先に進めるというか…。

今日はチーズを加えて、リングイネに合わせて食べた。一晩寝かせて、明日にタマネギとスパイスを加えてカレーにする。

岡山のまほから連絡。丹後山アパートメントのみんなとインスタで通話した。自分はいま、神奈川にいると実感した。技術は時空を越える。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。