富士見町から平成町へ

朝。富士見町はとても静かだ。陽の光が穏やかに灯り、鳥の声が響き渡る。家を出る。人はまばら。

小さい子供や、学生、数人の大人。県立大学駅に出勤している人もいるが、急ぎ足ではない。細い坂道をくだる。

8時10分。富士見町から平成町から出勤する。歩いて20分。リビング横須賀に寄って、昼食のためパンを2個買う習慣だったが、お金がかかりすぎるのでやめて、玄米のおにぎりをひとつ持っていくことにした。

既製品のパンはなにかしらの薬品が入っているし、積み重なるとよくない。

玄米おにぎりに、糠漬けと味付け卵をいれる。ぽろぽろして、固まりにくい。海苔が必要だ。

安浦から平成町

もうひとつの習慣は、安浦神社にお参りすること。神社には狛犬が左右に配置されている。右側は口が開いていて、左側が閉じている。行くたびに、おぉ、今日もよく来たなと言われている気がする。

私が行く時間帯には、掃除をするおっちゃんと、青いスカーフを巻いた女性がよくいる。岡山でよくみた、自然を愛好する移住者の人たちに空気感が似ている。そういえば、そういう人たちは横須賀ではあまり見かけない。

開店前のパチンコ屋の前で、店員のおばちゃんが、近所のおばあちゃんに挨拶しているのを見かけた。おばあちゃんは手押し車に荷物を乗せている。実際の母娘の年齢差に近いのだろう。

パチンコ屋の駐車場で、「おい、なにやってんだよ、早く来いよ!」「うるせえよ!」と言い合うおじいちゃん2人がいた。警備員さんがそれを微笑ましく見ている。その2人によくある光景なのだろう。

横須賀の人たちはみんなとても人間臭くて、それが街の雰囲気を模っている。いいなあ、と思う。

平成町は埋立地で、リゾートマンションもあり、敷地の広い工場もあり、大きい建物が多い。一方で、昭和の残存物らしき建物もよくある。山側の旧市街とちがって整然としているが、横須賀らしいカオスも同居している。

職場の屋上から海が見える。すこしはやく出勤して、海を眺めるのが好きだ。往来する船と、大きい建物が見える。みなとみらいなのだろうか。こんな近くで船を見ることはなかった。

横須賀に越して一年。この街で店もできて、仕事も与えてもらって、暮らしている。この街が好きになったな、と海と空を眺めながら考えた。

海と空と風が渾然一体となって、私の心に入り込んだ。どこかで感じたことのようでもあったが、やはりいままでどこにも感じたことのないものだった。

今日は一日中、雨が降っていた。

焙煎したインドネシアの深煎りを水筒に入れて、休憩中に飲んだ。ひとかけのチョコレートといっしょに。

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